看護師になった理由とは?中学生に看護現場で学んだことや看護の仕事内容を伝える

アリスです。

私は以前、中学2年生を対象に看護師の仕事について講演をしたことがあります。

学校からの依頼目的は、各種職業に従事している人達の「生き方」や「職業観」を聞くことで、生徒達が現在の自分の生活を見直し、また将来の進路や生き方について考える機会としたいということでした。

私の話を聞いたことがきっかけで看護の仕事に関心を持ち、将来看護師を志ざす生徒がいれば嬉しいという気持ちもあって引き受けました。

正式に勤務先の総合病院の院長、看護部長あてに書面での講師依頼を受けて出向きました。

何といっても中学生が相手です。

・看護師である前に人間として、社会人として大切なことを伝える。

・看護に対する自分の思い(看護観)を伝える。

・専門用語は使わないで、わかりやすく、ゆっくりと話す。

以上の3点に注意しながら話をしました。

それでは社会人講師として、「看護の仕事とは」の内容を紹介します。

スポンサーリンク

看護師を志したきっかけ

私が看護師になった動機は「自立して一生働ける仕事に就きたい。」という思いや、

「学んだことを家族や世の中に役立てることができる。そのための国家資格を手に入れたい。」という思いがあったからです。
私は小学生の時に父を事故で亡くしています。
父の死に遭遇したということ、母の深い悲しみを目の当たりにしたということも、看護師になったことに深く影響を受けていると思います。

スポンサーリンク

Aさんの看護で学んだこと

治療を受けて元気になって退院できた方、病気と付き合いながらも社会復帰、家庭復帰ができた方、また病気が進行した状態であるため痛みを少なくし、その人らしさを大切にしながら家族とともに看取りを行った方など、仕事を通して支援した方々には心に残る思いがあります。

1人のAさんという50代の男性のお話をします。プライバシーに関わるため名前と病名は伏せさせていただきます。

Aさんは食道と肺の大手術を2回も受け、生死の境をさまよう状態からやっと生命兆候が安定した頃、Aさんとご家族の希望で私の勤務する病院に変わって来られました。

来られた時には、寝たきりで自分で起き上がることもできず、腰の骨が見える程に深くえぐれた床ずれができており、痛みも大変なものでした。
気管切開を受けていたため口からの会話はできず、コミュニケーションはジェスチャーや口真似、筆談といったものでした。
病気の影響で飲むことも食べることもできず、点滴から栄養を受けていました。
自分で痰を出す力がないため、10分から15分毎に1度は気管に管を入れて痰を取る処置が必要でした。
担当の医師からご家族に「はっきりしたことは言えないが、残りの命は1年も持たないでしょう」と言われました。

しかし、私達はAさんの状態を少しでもよくして、人間らしい生活を送ってもらいたいと考え、Aさんの状態を分析して看護目標と看護計画を立案し、行動に移していきました。

2ヶ月半かけて床ずれを治し、それと並行しながら起き上がる訓練と足の筋力をつけて歩行を可能にしました。

初めてAさんが廊下を歩いた時には、Aさんも奥さんも私達も心から嬉しくて「バンザイ」をして喜びました。

Aさんの状態に合わせて、その都度励ましながら進めました。Aさんも弱音を吐いて諦めるということはありませんでした。

筋力が少しずつついてくると、自分の力で痰も出せるようになり、Aさんも自信がついてきたのでしょう。

表情がとても生き生きとして明るくなり、笑顔も多く、コミュニケーションもスムーズにとれるようになってきました。

そして外出に向けて調整をし、ご家族と一緒に自宅やドライブなどの外出までできるようになったのです。

病院を変わって来られた時の状態と比べたら、生活の質はとても良くなったといえるでしょう。

しかし入院して7ヵ月の頃には、病状が進行し、息苦しさと熱が続くようになり、全身の痛みは強く、自分で痰も出せなくなりました。

私達は、Aさんの体と心の苦しみが少しでも和らぐようにと関連する職種と協働し、ご家族を含めて看護しました。

Aさんは亡くなる当日、「ありがとう、本当にありがとう。皆さんに出会えて本当に良かった・・・」とご家族と私達医療者に感謝の言葉を言われたのでした。

人はその人が生きてきたように死を迎えるといいますが、Aさんの生き方は何にでも一生懸命に取り組むということを、生き抜くということを教えてくれたように思います。

看護の仕事とは

看護師は患者さんの病気による反応を分析、判断し、患者さんを主体にした目標と計画を立てて実践し、その結果を評価しながら進めていくという問題解決技法を使って、医療チームと協働し、患者さんの持っている力を引き出しながら看護を提供しています。

看護は人を人として尊重し、病気と闘う患者さんを理解し励ます仕事です。それだけに人一倍のやさしさと人間性が求められます。

また、人の生き方に関わっていく、人の命の尊さに関わっていくという意味では極めてヒューマンな職業であるといえるでしょう。

患者さんの心の声を聴くためには、人間に関心を持ち、理解する努力と人から学ぶ姿勢が必要とされます。

皆さんは、まずおじいちゃん、おばあちゃんのいる人は、身近にいるお年寄りの声に耳を傾けてください。そしてお父さん、お母さん、きょうだいとたくさん会話をしてください。お友達とも同じです。

何をどのように考えているのか、お互いの気持ちを理解するようにしてください。そうすることで自分以外の人を思う気持ちが生まれてくるでしょう。そのような関わりの中で自分自身を振り返り、自分の長所短所に気づいていくことも大切なことなのです。

言うまでもなく、挨拶や笑顔も人と関わるうえではとても大事なことです。

スポンサーリンク

看護師になってよかったと思った時

看護師になってよかったと思うのは下記のような時です。

・身動きのとれなかった人が、歩行できるまでに回復できた時

・オムツが必要だった人のオムツを外し、トイレで用をたすことができた時

・食事療法や運動療法の必要な人が、その内容を理解し日常生活に取り入れることができた時

・病気で障害が残った人が、自宅に帰れるまでに回復できた時

・全くの寝たきりで話もできなかった高齢の人が、刺激に反応して笑ってくれた時

・大手術の後、何日も絶食が続いた人がやっと食事を口にした時

・病気の進行で痛みが強くなった人が、痛みが和らいで笑顔になった時

・その人のつらい気持ちを共に分かり合えた時

本当に数えあげるとキリがないのですが、たとえささやかでも患者さんができなかったことができるようになること、看護実践が患者さんの生活と回復に確かに助けになっていると実感できる時、看護師になって本当によかったと思います。

患者さんも実に看護師を観察していて、「あの看護師なら自分のことをわかってもらえる」「あの看護師なら任せられる」と、時には頼み事も相談も看護師を選んでされている事があります。

看護師のレベルには5段階ある

アメリカの看護理論家パトリシア・ベナーは、看護師のレベルには初心者、新人、一人前、中堅、達人の5段階があると述べています。

これはどの職業にも当てはまると思いますが、つまり中堅にとどまることなく、達人に向けての積み重ねが必要であるということです。

どの分野でも同じですが、よほど特殊な能力や特性や技術を要するもの以外は、誠実に努力する限り、働く喜びや生きがい、やりがいは見つけ出せると信じています。

スポンサーリンク

自分のやりたいことを実現させるためには?

これは皆さんと私自身のメッセージですが、漠然とした思いではなく、具体的な目標として自分のやりたいことを実現させていく、そんな生き方ができたらいいなと思います。

「自分はこうありたい、こうなりたい、こうしたい」という目的意識を持っていることが大切なのではないでしょうか。

まずやりたいことに挑戦すること、その結果は駄目でもともとです。

何もしないで諦めているよりも、努力そのものに、夢そのものに意味があるはずだと思うのです。

中学生からの感想、メッセージを紹介

以上が社会人講師として中学生に話をした内容です。

いくつか感想文を紹介します。

・時間があれば、もっともっと話を聞きたかった

・自分も諦めないでやりたいことを頑張っていきたい

・家族とあまり話をしていないので、もっと父や母、兄弟と話をしていきたい

・人として尊重するという言葉に感動した

・Aさんのことを聞いて、大変だけど看護の仕事はやりがいのある仕事だと思った

・命の大事さがわかった

・看護師の仕事に興味をもった。進路を考える時に役立てたい

等々です。

私が思った以上に生徒さん達は、時には頷いたり真剣な表情で身動きもせずに聞いていました。

40名の感想文からメッセージが伝わったという手ごたえを感じ、講師を引き受けてよかったと思いました。

スポンサーリンク
関連記事と広告